Pressed for Sound: Ned Goodwin

東京の人気レストランやワインバーの常連やスタッフの間で、囁かれる名前がある。
その男はネッド・グッドウィン。日本でただ一人ワインマスターの称号を持つ人物で、醸造博士と呼んでいいくらい、ワインの製造にも文化にも詳しい。東京では、何人のトップソムリエを育成してきた。彼は日々地球上を飛び回り、ワインを審査し、知識を日本に持ち帰る。そして、彼が世界中のワインから厳選したセレクションが、世界で最もグルメな都市・東京のレストランで、料理を彩るのだ。
ワインは、ネッドにとって人生の大切な一部。サウンドもそうだ。

「僕は自他とも認めるオーディオマニアで、日本の住環境–––いわゆる、広いリビングを囲むように小さい部屋が並んでいる、というセッティングの中で、いくつものスピーカーやアンプを試してきた。」
彼がサウンドに求めるのは、ボリュームと明瞭さ。これは、彼が好みのワインを描写するのに使う形容詞でもある。

サウンドにこだわる人間にとって、東京は簡単に攻略できる場所ではない。何しろ部屋が狭い。(しかも高い。)音の反響に適した間取りや建材を採用した住居を探すのは、至難の業だ。日本で売られているハイエンドのオーディオ機器も、東京の住環境を攻略できているとは言い難い。ネッドの言葉を借りれば、「パワーが強すぎるか、強すぎないものを選べば、低音がはっきりしない、そのどちらかなんだ。」スケールも密度も高い東京に暮らす人々は、肝心なのはサイズではないことを、よく知っている。物事を決めるのは、ディテールへのこだわりだ。

よく冷えたリースリングのボトルを開けながら、小型オーディオの問題を指摘するネッドが、Ologeシリーズの最下位モデルであるONEの感想を口にする。「ドンピシャだったんだ。ONEをセットアップしてみると、もちろんシンプルで機能的なデザインも気に入ったけど、何より、音が立体的なんだよ。リビングの隙間という隙間を、音像が満たしていった。」厳しい批評家が、ONEを認めた瞬間だ。「スゴイ、って思わず口にしたよ。」

ネッドは最近、Wine Diamondsというプロジェクトをスタートさせた。このプロジェクトは、オーストラリア・ニュージーランド・南アフリカの新進気鋭のワイナリーと、日本で最も時代を先取りするワインのプロ集団のコラボレーションで、職人気質で革新的なワイナリーの「既成概念に囚われず、ワインを次のレベルへ高めようとする情熱」をサポートするものだ。ネッドは、滅多に「有名なもの」「人気のもの」に満足することなく、常に新しい味覚や洗練を探求している。

そんなネッドが、ONEを認めてくれた。「この、小さいけれど正確で美しいスピーカーで、僕の生活は格段に向上したよ。」

ネッド・グッドウィンは、1969年4月ロンドン生まれ。オーストラリアで育ち、東京とパリで教育を受ける。ワインと共に生きることを決めてから、飲食業・ワイン審査員・コンサルタント・バイヤー・イベントコーディネーター等、幅広く活動。特にアジアでは、ライターやTVパーソナリティーとしても活躍する。

2001年からアジア最大のレストラングループの一つであるグローバルダイニングのワイン統括責任者(バイヤー兼ソムリエ教育)をつとめる他、レストランPJグループ(Salt、WW他)、大使館、モエ・ヘネシー・ジャパン、ANAのファーストとビジネスクラス、高級スーパーのワイン売り場など、外部コンサルティングも行っている。

ベースを日本に移す以前には、1998年から2001年の間NYマンハッタンのグラマシー地区にあるレストランVeritasのソムリエとして活躍。Veritasuはワインスペクテーター誌のグランド・アワードを受賞し、世界で最も素晴らしいワインリストを持つレストランと絶賛された。その他、パリのJuvenilesやLAのMichael’sでもソムリエとして働き、その間、パリのオーストラリア大使館、ニューヨークのRon PerlmanやHarvey Weinsteinのコンサルティングやイベントを担当し、アルザスのDomaine Weinback、Domaine de la MontilleのEtienne de Montileなどで、ワインディナーを主催した。

ソムリエ活動以外では、日本のテレビ番組「ヴィンテージ」のナビゲーター(2000)、2002年から2004年にかけて、慶応義塾大学でワインマーケティングに関する客員講師をつとめた。また、New York Times、WINART、ジャパンタイムズ、東京Calender、Newsweek、Elleなど様々な雑誌やCNNなどTVでも紹介され、Wine Business InternationalやJamessuckling.com、カンタス航空機内誌InflightやPrestigeなどで執筆も行っている。